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日本の状況-アニマルウェルフェア(動物福祉)

(2018年7月26日更新)

日本には現在、畜産動物の飼育方法について、実行力のある法規制なく、諸外国が禁止しているバタリーケージや妊娠豚ストールが、一般的に使用されているという状況です。しかし、海外に後れをとってはいますが、日本においても少しずつ畜産動物福祉への取り組みは進められています。

 

国レベルでの取り組み

▼2011年 アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針▼
2011年に、畜種ごとの「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針が公表されました。しかし残念ながら、年月をかけて策定されたこの指針は、業界紙などに掲載はされましたが、2014年まで各自治体への周知が行われていませんでした。そのため畜産農家と直接つながりがあるにもかかわらず「アニマルウェルフェア」という言葉すら知らない行政の担当者もおり、各自治体の担当部署にこの指針を周知していただくよう農水省に求めていたところ、2014年にようやく、農林水産省のサイトに「アニマルウェルフェアについて」というページが追加されたのを機に、各自治体への「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針」の通達がなされました。
*アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針には法的な拘束力はありません。

▼2014年 パンフレット「アニマルウェルフェアの向上を目指して」▼
2014年6月にはアニマルウェルフェアの向上を目指して」というパンフレットが作成されています。このパンフレットには、動物の正常行動を促すための方法などが掲載されています。豚なら豚房に鎖やボールを設置してあげる、採卵用鶏なら従来型のバタリーケージに止まり木と巣箱兼砂浴び場を設置する方法などが、写真入りで掲載されており、「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針」よりも、具体的でわかりやすいものになっています。

 

▼2016年 OIEの動物福祉基準への対応▼
2016年6月、ブロイラー、肉用牛、乳用牛の「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針」が、OIE(世界動物保健機関)の「アニマルウェルフェアと肉用鶏生産方式」「アニマルウェルフェアと肉用牛生産システム」「アニマルウェルフェアと乳用牛生産システム」の動物福祉基準に対応するものに変更されました。さらに飼養管理指針には、生産者自らがアニマルウェルフェアの取り組み状況を自己点検するためのチェックリストも追加されました。

▼2016年 農林水産省から各県へアニマルウェルフェアの推進を要請▼
2016年9月30日、農林水産省から各県に対し、生産者自らがアニマルウェルフェアの取り組みを進めるよう指導要請されました。

「農林水産省生産局畜産部は、9月30日に農水省講堂で開催した平成28年度第1回全国畜産課長会議で、28年度補正予算や29年度当初予算概算要求の概要、各課の主な施策などを説明した。この中で、畜産部の畜産振興課から各県に対し、「アニマルウェルフェアに関する取り組みの自己点検の取り組み改善を進めるよう指導してほしい」と要望した。
わが国におけるアニマルウェルフェアの推進では、平成21年から(公社)畜産技術協会を中心に、畜種ごとの「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針」を作成。ただ、26年度に実施したアンケート調査で、同指針の生産現場への浸透が不十分であったことから、今年度は指針の改定とあわせて生産者自らがアニマルウェルフェアの取り組み状況を自己点検するためのチェックリストを作成し、農水省も積極的な活用への指導を要請したもの。」
(鶏鳴新聞「畜種ごとにアニマルウェルフェアのチェックリスト作成 自己点検での活用へ 畜産技術協会」より引用)

▼2017年 厚生労働省からと畜場へ飲水設備の設置を促す通知▼
日本の多数のと畜場で飲水設備が設置されておらず、牛や豚が最期の日に満足に水が飲めないという状況にあります。民進党小川勝也参議院議員の質問を機に、2017年3月8日、厚生労働省から各都道府県・各保健所設置市へ、「新設及び改築等が行われると畜場の獣畜の飲用水設備の設置について」が通知されました。この通知は、OIEの動物福祉基準にも言及し、と畜場へ飲水設備の設置を促すものとなっています。
http://www.hopeforanimals.org/slaughter/515/

▼2017年 東京オリンピック・パラリンピックへ対応したアニマルウェルフェア▼
2017年3月24日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は選手村の食事など大会で使用する農産物と畜産物の調達基準を決定した。畜産物は農産物の要件に加え、快適性に配慮した家畜の飼養管理も要件に入った。アニマルウェルフェアの考え方に対応していることが必要になる。(全国農業新聞2017.3.31より引用)
*ただし、これまでのリオ、ロンドンオリンピックのアニマルウェルフェア基準に比べてかなりレベルが低いものとなっている。

▼2018年3月 採卵鶏の夜間放置について、農水・厚労・環境各省から注意喚起の通知▼
卵の産卵数が落ちてきたということで1年または2年で殺され、冷凍食品や缶詰の肉になっている成鶏。その成鶏が養鶏場から長時間かけて運ばれてきた後に、さらに屠殺場(食鳥処理場)で長時間放置されている。この問題について、2018年3月26日に、農林水産省が改善を促す通知を出し、同時に厚生労働省からも通知が、環境省からも事務連絡が出された。

 

国会でアニマルウェルフェアに関する質疑

▼2016年3月10日▼
参議院農林水産委員会で、小川勝也議員(民主党・新緑風会)が畜産動物のアニマルウェルフェアについて言及しました。
小川議員は冒頭「私は日本は先進国だとならってきて祖国に誇りを持っていた。しかし近年日本が世界に劣っているなあと思う分野がいくつかある。その中でも一番劣っているのがアニマルウェルフェアの概念だと思います」と述べ、日本の畜産動物福祉の評価が、中国やフィリピンよりも劣っていることを明らかにしました。そして、アニマルウェルフェアの意識を高めることを求めました。
http://www.hopeforanimals.org/animalwelfare/00/id=440

▼2016年10月18日▼
TPP特別委員会で松浪健太議員が(日本維新の会)からアニマルウェルフェアについての発言がありました。
ラクトパミンやホルモン剤のが使用された畜産物が日本で流通していることについて、「アニマルウェルフェアという言葉があるけど、こういうやり方は日本には合わない」「一種の動物虐待だと思う」と発言。農水省の示す五つの自由、海外の基準を提示し、こういうやり方は違うと思う、「アニマルウェルフェアを含めたあらゆる角度からやれば世界が健康になる。対外貿易戦略はそのように取り組んでいくべき。」と発言しました。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=46082&media_type=fp

▼2017年2月27日▼
民進党小川勝也参議院議員から、「畜産業におけるアニマルウェルフェアに関する質問主意書」が伊達忠一参議院議長に対し提出されました。東京オリンピック・パラリンピック競技大会にも絡め、畜産物調達における動物への配慮を農林水産省に、またと畜場の飲水設備の設置についても、質問してくださいました。http://www.hopeforanimals.org/animal-welfare/510

▼2017年12月5日▼
衆議院議員である堀越啓仁議員が、衆議院環境委員会で農場、輸送、と畜場のアニマルウェルフェアに言及。動物愛護法の中で畜産動物が動物取扱業から除かれ、さらに個別の条項がないことを言及した。また2020年オリンピック・パラリンピックが控える中でのアニマルウェルフェアの取り組みが遅れていることに対し危機感を示した。
http://www.hopeforanimals.org/animal-welfare/564
▼2018年2月23日▼
衆議院予算委員会第6分科会で、堀越啓仁(立憲民主党・市民クラブ)衆議院議員が、ケージフリー飼育への切り替えやストールフリー飼育への切り替えなどの、設備投資を必要とするアニマルウェルフェアの改善について、農林水産省がどのような対策を考えているのかなどについて質問されました。http://www.hopeforanimals.org/transport/20180223-budget-committee/
▼2018年6月6日▼
衆議院 厚生労働委員会で、初鹿明博衆議院議員(立憲民主党・市民クラブ)が畜産動物のアニマルウェルフェアについて質問されました。
初鹿議員は、国際的に取り組みが進む”ワンヘルス(One health)”という人の健康も、動物の健康も、環境の健康もすべてつながっているのだという考え方について言及し、日本のと畜場で動物が水が飲めない状況、食鳥処理場での鶏の長時間放置などの事例を紹介し、ワンヘルスを進める上で欠かせないアニマルウェルフェアの推進を求めました。

http://www.hopeforanimals.org/animal-welfare/kousei-roudou-0606/

▼2018年6月8日▼
衆議院環境委員会にて、堀越啓仁衆議院議員(立憲民主党・市民クラブ)が質問に立ち、環境省、農林水産省に対して畜産動物福祉(アニマルウェルフェア)についての取り組みを促しました。堀越議員は食鳥処理場での鶏の残酷な扱いと畜場で豚に執拗にスタンガンを押し当てることなどの事例を紹介し、OIEの動物福祉規約に違反しており、動物愛護管理法にも違反しているのではないかと指摘しました。

 

予算

アニマルウェルフェアの向上を目的とした予算が確保されるようになってきています。
*2014年以降を掲載していますが、これ以前もアニマルウェルフェアの予算は出ています。

▼2014年▼
1.JRA*の交付事業
アニマルウェルフェア専門家養成事業
[事業の内容]家畜・家禽のアニマルウェルフェア(以下、「AW」という。)の普及を図るため、テキストの作成及び研修会を開催し、生産者等のAWに関する正しい知識の習得及び農場等におけるAWの状況を把握することのできる専門家を養成することを目的とする事業。
[事業実施主体]公益社団法人 畜産技術協会
[事業実施期間]平成26年度から2年間以内
[交付金の額]478万円

2.独立行政法人農畜産業振興機構(エーリック)による畜産業振興事業の一つ「国産畜産物安心確保等支援事業」の中の「快適性に配慮した家畜の飼養管理推進事業」の中から約1,500万円の予算で、飼養実態アンケート調査が実施された。実施主体は公益社団法人 畜産技術協会。

▼2015年▼
独立行政法人農畜産業振興機構(エーリック)による畜産業振興事業の一つ「国産畜産物安心確保等支援事業」の中の「快適性に配慮した家畜の飼養管理推進事業」として約2,000万円で”乳用牛ベストパフォーマンス実現マニュアル”の作成などが行われた。実施主体は公益社団法人 畜産技術協会
「快適性に配慮した家畜の飼養管理推進事業」の内容は『アニマルウェルフェアの国際的な動向に関する情報提供、アニマルウェルフェア向上に向けた検討等を支援する。』となっている。しかし実際にはこの”乳用牛ベストパフォーマンス実現マニュアル”は生産性を重視したもので、アニマルウェルフェア事業とは言えないのではないかと、当法人は考えている。

▼2016年▼
独立行政法人農畜産業振興機構(エーリック)による畜産業振興事業の一つ「国産畜産物安心確保等支援事業」の中の「快適性に配慮した家畜の飼養管理推進事業」の中から約800万円の予算で”アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針”がOIEのアニマルウェルフェア国際基準に合うものに改定された。実施主体は公益社団法人 畜産技術協会

▼2017年▼
畜産動物福祉に関する、2017年度JRA*畜産振興資金
*日本中央競馬会(JRA)は、日本中央競馬会法第19条第4項の規定に基づき、農林水産大臣の認可を受け、本会の剰余金を活用して、畜産の振興に資することを目的とする事業に助成を行う法人に対して、資金を交付しています。

採卵鶏のAWに関する実証調査事業
(1)事業の概要 採卵鶏における我が国の気候風土環境下に対応したAW(アニマルウェルフェア)推進を図るため、AW対応鶏舎に関する実証調査を実施し、飼養管理の実態に即した知見を得るとともに、採卵鶏の飼養管理指針改訂のための検討及び改善策等を加えたモデルの作成、提示を行う事業。
(2)事業内容
① AW対応鶏舎における養鶏の実証調査・分析。
② 国内外のAWに対応した鶏舎等に関する調査・情報収集。
③ 各種調査・分析結果の報告書の作成。
④ AWに対応した鶏舎モデルの作成・提示。
(3)事業実施主体 公益社団法人 畜産技術協会
(4)事業実施期間 平成29年度から3年間以内
(5)交付金の額 54,494千円

AWに配慮した家畜輸送等指針作成事業
(1)事業の概要 家畜の生産・流通等でのAW向上を図るため、国際的なAW基準に対応した家畜の輸送及び疾病管理目的の殺処分に関する指針を作成するとともに、生産者及び畜産関係機関等に配布する事業。
(2)事業内容
① 国内外における家畜の輸送・疾病管理目的の殺処分に関する情報収集。
② 生産現場、家畜診療所等を対象とした意見交換会の開催。
③ 指針の策定及び周知。
(3)事業実施主体 公益社団法人 畜産技術協会
(4)事業実施期間 平成29年度から2年間以内
(5)交付金の額 7,802千円

 

都道府県の取り組み

茨城県
2016年4月に公表された茨城県養豚振興計画では、豚の飼養衛生管理の高度化に関する事項として、群管理システムの推進が挙げられている。(茨城県は豚の飼養戸数が全国第3位)

『効率的・省力的に飼養管理を行うために,リキッドフィーディングシステム※や群管理システム※※など高度な技術導入を推進する。
※ リキッドフィーディングシステム:液状化した飼料を各豚房に給餌するシステム。
※※ 群管理システム:繁殖豚を一群で管理するシステムで,従来のストールに比べ,豚のストレスを軽減できる。飼料給与量やワクチネーションなどは,コンピュータで管理する。』

宮城県

2017年9月12日、宮城県議会の一般質問にて、境 恒春(さかいつねはる)議員(みやぎ県民の声)からアニマルウェルフェアについて、採卵鶏のバタリーケージやブタの拘束飼育(妊娠ストール)の問題、県がアニマルウェルフェアへどのように取り組むのか、宮城県内のと畜場の福祉についての質問がなされました。
県の回答では、畜産クラスターという大規模な畜産の補助金制度があり、その制度をアニマルウェルフェアを利用することを支援することなどが示されました。
http://www.hopeforanimals.org/animalwelfare/00/id=553

 

民間レベルでの取り組み

▼2016年5月28日 AWFC・JAPAN設立▼
AWFC・JAPAN(Animal Welfare Food Community Japan)第一回設立総会が開かれました。
「このコミュニティは会員がAW畜産を実践する事で、 健康な家畜から安全で品質のよい食品を供給する事業を実現する。また 高い家畜福祉価値観をもつ同志の協働によって、相互助言し合い、各個別事業の補完をし合い日本国内においてのAWの認知度向上と一般消費者の理解を深めることを目的とする。」(第一回総会案内「活動目標」より)

▼2016年6月18日 アニマルウェルフェア畜産協会設立▼
家畜にできるだけストレスを与えない飼い方の普及を目指して「アニマルウェルフェア畜産協会」が設立されました。18日の設立総会で一定基準を満たした家畜の飼い方をしている生産者を協会として特別に認証する制度を始めることが報告されました。協会は、2016年9月をメドに認証されたことを示すマークを作成し、早ければ来年の春には生産者への認証を始めたいとしています。
http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20160618/3161131.html

▼2016年9月29日 第一回動物福祉研究会シンポジウム▼
動物福祉研究会第一回シンポジウムが行われました。傍聴してきましたが、第一回にもかかわらず5,60人の方が参加しており、関心の高さが伺われました。
当日のレジュメによると、「動物福祉研究会について:動物福祉研究会は動物福祉の学術研究会です。(中略)この研究会では、多様な専門分野の研究者が集い、多角的な情報共有と議論を行うことで、家畜福祉を総合的に理解し、学問分野として総合的に位置づけるとともに、関係者の有機的な組織化を行うことを目的としています。」
とのことです。
*この研究会の「動物福祉」は、畜産動物に限定されるものではありません。
動物福祉研究会フェイスブックページ https://www.facebook.com/animal.welfare.science/

▼2017年9月12日 コープさっぽろ全店で平飼い卵▼
コープさっぽろ全店108店舗 で、9月から「平飼いの卵」取扱いがはじまりました。コープさっぽろのサイトでは「既にEU諸国ではアニマルウエルフェア(動物福祉)の観点からケージ飼いの卵の販売を禁止している動きがでている中、日本においても近年同様な考えから平飼いの卵を購入したいという組合員さんの要望に応えるため、この度全店での取扱いを始めることといたしました。」と平飼い卵の取り扱いに至った経緯が掲載されています。
このニュースは北海道のテレビ番組でも取り上げられ「土をかいて、虫を落とす動作がある」などと平飼い鶏とケージ鶏の違いについても言及されました。

▼2017年10月 国内最大級ケージフリー型鶏舎(20万羽)が新設▼
鶏卵生産・販売のフュージョン(都城市、赤木八寿夫社長)が新富町日置に新設した国内最大規模となるケージフリー型の養鶏・採卵場が鶏卵業界の注目を集めている。欧米ではケージフリー型がアニマルウェルフェア(動物福祉)に対応した新基準として導入が広がっており、同社の取り組みは牛や豚など畜産業界全体に影響を与えそうだ。(2017.10.18宮日ビジネス「世界水準の卵生産へ」より引用)

▼2017年11月1日 鶏卵生産の仁光園でケージフリー▼
鶏卵生産の仁光園 鶏飼育でおり入れず「鶏卵生産の仁光園(富山県高岡市)は欧米で取り組みが進む、鶏をおりに入れない平飼い(ケージフリー飼育)を導入する。9千万円を投じて既存の鶏舎を改修し、年内に卵の出荷を始める計画だ。」「仁光園では現在7万羽の採卵鶏を飼養しており、このうち1万8千羽を屋根と壁に囲まれた鶏舎で放し飼いにする」(2017.11.1日本経済新聞)

 

生産者のアニマルウェルフェア意識

▼アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針の認知度▼
畜産技術協会2014年飼養実態アンケート調査報告書によると、農林水産省が普及に努めている「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針」の認知度は次のとおり。

肉用牛26.7%
乳用牛22.2%
採卵鶏59.5%
ブロイラー35.7%
ブタ51.7%

▼養豚協会の調査▼

2015年調査
2015年の調査は、2009年度養豚基礎調査以来6年ぶりに本格的な養豚生産者に対する調査が実施され、その中で「アニマルウェルフェアの取組み」についてもはじめて調査されました。

農場におけるアニマルウェルフェアの取組状況について、「特に考えていない」54.3%と最も高く、次いで「十分理解していないので情報が欲しい」25.2%となっている。「飼養管理に考え方を採用」、「具体的に検討中」がそれぞれ 10.2%と全体の約 2 割となっている。

2016年調査
2015年の調査ではアニマルウェルフェアに関する調査は「農場でアニマルウェルフェアに取り組んでいるか」というものだけでしたが、2016年は「妊娠ストールを常用しているか」「使用しているなら今後廃止を検討しているか」、「歯・尾の切断をしているか」「しているなら今後麻酔を検討するか」「去勢をしているか」「しているなら今後麻酔を検討するか」という質問も加わっています。
妊娠ストールの廃止を検討しているのが10.1%、麻酔を検討しているのが3%ほどとそんなに多くはありませんが、ゼロではありません。こういった質問を加えたことにもアニマルウェルフェアへの意識の高まりを感じます。

経営体におけるアニマルウェルフェアの取組状況について、「知っている」が 74.5%となっている。そのうち「アニマルウェルフェアの考え方を取り入れている」、「検討中又は検討予定」を併せて30.2%となっている。
繁殖用雌豚の飼養管理にストールを常用しているかについて回答経営体の割合をみると、「している」91.1%となっており、そのうち 10.1%が今後検討するとしている。
去勢を実施する際に麻酔を実施しているかについて回答経営体の割合をみると、無麻酔が 97.3%となっており、そのうち今後検討するが 3.3%となっている。
歯の切断を実施する際に麻酔を実施しているかについて回答経営体の割合をみると、無麻酔が92.1%となっており、そのうち今後検討するが 3.1%となっている。
尾の切断する際に麻酔を実施しているかについて回答経営体の割合をみると、無麻酔が 91.3%となっており、そのうち今後検討するが 2.8%となっている。

*養豚農業実態調査全国集計結果 http://jppa.biz/investigation.html

▼2018年「最も取り組まねばならない課題はアニマルウェルフェア」 -鶏鳴新聞▼
2018年1月5日発行の鶏鳴新聞で「欧米のAWの考え方の根底には、キリスト教プロテスタントの宗教観や文化があり、採卵鶏では〝脱ケージ〟への動きがある。」として、日本で「最も真剣に取り組まなければならなくなりつつあるのは、アニマルウェルフェア(AW)についてである。」と掲載。
http://www.keimei.ne.jp/article/20180105t1.html​​​​​​​
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消費者の意識

▼アニマルウェルフェアの認知度調査▼
2016年にアニマルライツセンター主体で行った「畜産動物に関する認知度調査」では妊娠ストールや体の一部の無麻酔切断、繋ぎ飼いなど畜産動物の飼育方法に関する認知度調査を行いましたが、それぞれの項目で「知っている」と回答した人は4~13%と非常に低く「アニマルウェルフェア」という言葉さえその認知は4.9%にとどまりました。
その後2017年に、再度同じ内容の調査を行った結果、「平飼卵、あるいは放牧卵がスーパーなどで販売されていることを知っていますか?」「「アニマルウェルフェア」あるいは「動物福祉」という言葉を知っていますか?」という2問を除き、他の7問では認知度*が上がっていました。もっとも認知度が上がっていたのが「卵用の鶏の多くが、バタリーケージという、一羽あたり22センチ×22センチほどの金網の中で飼育されていることを知っていますか?」という質問で、2016年に比べて4.7%認知度が上がっていました。
しかしどの質問も1~5%程度の差にとどまっています。
2018年の同調査結果でもやはり認知度は11.2~34%と低いものではありますが、すべての質問項目について認知度が年々向上していることが分かります。全質問を平均すると2016年の認知度は15%、2017年は17%、2018年は20%と推移しています。

▼畜産動物に関する消費者意識・行動調査▼
2014年に同じくアニマルライツセンター主体で「畜産動物に関する消費者意識・行動調査」を行っています。この調査では畜産の現状を示し、こういった状況をどう考えるかという質問を行っています。結果、約8割の人が、畜産動物が放牧などで自然な行動ができることを望んでいる事が分かりました。また麻酔なしで体の一部を切断する行為もそのままでよいと答えた人は1~2割にとどまり、多くの人が現状の飼育方法に問題意識を持ったことがわかりました。アニマルウェルフェアが広がる下地は日本にも十分あるということをこの調査結果は表しているといえます。

 

消費者教育の一環としてアニマルウェルフェア

▼消費者庁「倫理的消費」調査研究会 最終報告にアニマルウェルフェア▼
2015年度から消費者庁で始まった「倫理的消費」調査研究会の最終報告書に、2017年4月19日、動物への配慮が明記されました。
http://www.arcj.org/lifestyle/00/id=1061

▼「エシカル消費と動物への配慮を考えるシンポジウム」開催▼
2016年10月2日に開催されたシンポジウムでは、企業も含めた250名もの来場者が集まり、関心の高さが伺われました。
http://www.arcj.org/information/00/id=960

▼高校生向け消費者教育パンフレットにアニマルウェルフェア▼
東京法規出版「「つくろう! 消費者が主役の社会」全20ページ。監修は妊娠ストール廃止運動に賛同する日本女子大学の細川幸一教授です。ゴミの原料や省エネ、食品ロスの問題と並んで、アニマルウェルフェアも掲載されています。

知っていますか?「アニマルウェルフェア」
昔、食肉は大変高価でした。しかし、今は値段が下がり、安くておいしい肉が食べられるようになりました。低価格でたくさんの量を食べられる。食べ放題などもあります。しかしその食肉は牛や豚や鳥など動物の命をもらったものです。私たちはそうした動物たちのことも考えて日ごろから消費を行っているでしょうか?
実は、消費者が安い肉を大量に求めるあまり、家畜が劣悪な環境で、動物らしい行動を抑制されながら飼育されているという現実があります。そうした家畜の苦悩を最小限に抑えるための配慮をしようというのが、アニマル・ウェルフェア(動物福祉・家畜府福祉)の考え方です。家畜が快適な環境で健康に飼育されるための取り組みが中心ですが、日本ではあまり進んでいません。
消費するときはそうした背景も考え、大切に、適量を消費するよう心がけましょう

 

その他国内でのアニマルウェルフェア関連ニュース

▼2016年11月23日 平飼い養鶏を行う組合が内閣総理大臣賞▼
採卵鶏飼養羽数約21万羽のうち、約5万6000羽を平飼いしている会田共同養鶏組合が内閣総理大臣賞を受賞。
今後については、 「鶏舎の建て替えや平飼い飼育の規模拡大、さらなる耕畜連携と飼料用米の利活用による水田事業の活性化、食料自給率の向上など、〝消費地に近い生産者〟の利点を生かした安全で高品質な鶏卵生産を目指している」としている。
http://www.keimei.ne.jp/article/20161105n1.html

▼2016年11月24日 NHKで「食で支える東京五輪」として動物福祉を放送▼

(NHKサイトより引用)
Q.そのための対応が必要だと言うことですね
たとえば農業については、農薬の使用回数を減らしたり、環境への影響を最小限にする散布方法を考えたもの。また化学肥料については、土壌診断を行って余分な化学肥料を使用しないで、栽培された農産物を選ぶべきだとか、様々な意見が出ています。
大変なのは畜産です。畜産の分野では動物にとっても快適な飼育環境の確保が求められているのです。
Q.動物にとって快適な飼育環境ですか?
例えばニワトリですが、日本では効率性を考えて狭いケージで飼われるのが一般的です。ところがニワトリは朝起きたら羽ばたきをし、毛繕いをし、砂浴びをするきれい好きの動物です。ゲージ飼いであればそうしたことはできません。
また豚はけんかをして、お互いが傷つかないように、生まれてすぐに歯を切断しますし、尻尾もすぐに切り落とします。こうしたことは、動物のためではありますが、一方で動物が意識ある存在であることを理解していないという見方もあります。
そしてたとえ短い一生であっても、動物の生態・欲求を妨げることのない環境で適正に扱うことを求めているのです。そうした取り組みが持続可能な社会をつくるという考え方です。

*国際オリンピック委員会IOCは近年、「スポーツ」「文化」に加え、「環境」をオリンピック精神の第三の柱とすることを宣言しています。大会運営を通じて、持続可能な社会を次世代に残すために畜産動物福祉の考えに基づいた原料調達が求められています

▼2018年2月 大手金融機関、アメリカへ 平飼い農場建設で融資▼
わが国の大手金融機関がアメリカの穀物メジャーと提携し、平飼い養鶏場に長期にわたり数百万羽規模の農場を建設することで合意(鶏の研究 2018年3月号より引用)

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